ホーム > コンサルタントコラム一覧 > コンサルタントコラム

コンサルタントコラム

ベレフェクト所属コンサルタントによるコラムです。

■女性営業が管理職を目指さない、本当の理由

太田彩子

EUの欧州委員会では、一定以上の女性役員の起用を義務付ける割当制を検討、
という提案がまとまりました。
例えば、ノルウェーでは、上場企業の役員の40%以上を女性にすることを義務付けています。
(この割当をクオーター制といいます)
ノルウェーやスウェーデンでは女性役員比率が全体の25%を上回り、
EU平均でも11%程度という結果が出ています。
一方で、2009年役員四季報によると、日本の上場企業の女性役員比率は、未だ全体の1.23%。
先進国の中でも大きな遅れをとっています。


この現状を打破すべく、日本企業でも女性活躍推進を掲げながら
様々な有機的な取り組みに着手し始めています。
女性リーダー養成や職域拡大、積極的な女性採用など
さらに女性活躍の場を広げる取り組みは増えています。
実際に、そのような対策推進は女性の離職防止へ大きく貢献しています。


一方で、頻繁に耳にするのが、
「うちの会社では賃金も昇格も性差は一切ない。子育て支援などの制度も整っている」。


それなのに、どうして女性管理職が増えないのでしょうか?
そこには、ハード面だけでは片づけられない現実があるからです。


私が年間6000人の女性営業と接し、感じる女性側の心理としては
大きくわけて2つの理由が存在するのです。


1つ目は、「上を目指さない働き方」を楽しんでいる女性が多いということ。
「営業は楽しい。だからこの先も頑張る」と意欲溢れるパワーを仕事に注ぎつつも、
「仕事だけでは嫌だ」という明確な価値をも持ち合わせているのが今の時代の特徴です。
かつて誰もが憧れた「キャリアウーマン」はもはや死語化しつつあり、
むしろ「キャリアウーマンにはなりたくない」願望が台頭してきたのです。


実際に、私が主宰する女性営業のための勉強会「営業部女子課」の調査では、
将来に対して「仕事も家庭も両立したい」という答えが圧倒的な位置を占めました。
「競争に巻き込まれる働き方は嫌だ」「家庭もプライベートも両立したい」という女性特有の価値が存在し、
自己実現のためには、「わざわざ多忙な管理職になどなりたくない」と口を揃えて言うのです。


2つ目は、「上を目指せない環境」があるということ。
たとえば、「私はリーダーになりたい!」と上を目指したくても、周囲に女性先輩がおらず
具体的な人生像が描けないということです。

私が主催する「営業部女子課」のメンバー・MR(医療情報担当者)の女性もこう心配します。
「これから仕事で頑張ろうとしても、職場には女性が少なく未来が不安になる。
であれば、もっと女性が働きやすい職場に転職したほうが私のためになるのではないか」と。
これこそが、優秀な女性を失ってしまう企業の損失そのものなのです。


つまり、制度充実というハード面だけでは到底カバーしきれません。
女性営業を本当に活躍させ、定着化を促進するのであれば最低でも以下4つのコミットが肝要です。
『経営のコミット』『周囲の意識改革のコミット』『女性自身のコミット』『環境改革のコミット』

それぞれの視点からみたコミットこそが、真の女性営業活躍推進を実現させるのです。


※参照:株式会社ベレフェクト「女性営業活用サイト」


それでは、具体的にどのような「ソフト面」を企業内で構築すれば
女性営業はより活躍、定着がはかれるのでしょうか?
ここでは職場ですぐに実施できる、『環境改革のコミット』におけるシンプルな3つの対策をご紹介いたします。


1つ目が、メンター制度等で周囲のサポート体制を徹底します。
よく女性営業の声で耳にするのがこちらの発言。

「上司からは、いつでも相談してね。と励ましてくれますが、
上司は忙しいし、どうしても男性だから相談しにくいこともある」と。

一見、「そのような悩みも解決できる自律性を持ってほしい」と言いたいところですが、
真面目で我慢する傾向が強い女性は、辞表を出すタイミングに初めて本音が言えたという話が後を絶えません。
これでは、あとの祭りです。
だからこそ未然の防止策として、「すぐに駆け込める」メンターの存在が重要なのです。


2つ目が、「女性同士の横のつながり」を提供することです。
たとえば私が主宰している「営業部女子課」調査結果でも、
参加満足理由の1位が「女性同士で
悩みや本音が言い合えたから」という答えがありました。
周囲との協調を重んじる女性は、同じ仲間の存在を確認しあえるだけで、
強いモチベーション維持に繋がるのです。


最後が、「仕事の見える化」を図ることです。
育児中の女性は特に、限られた時間内で成果を出さざるを得ない状況にあります。
そこで、たとえば会議の効率化や営業プロセスの改善を促進するなど現場の生産性を上げれば
必然的に残業なしでも成果を出すことが可能になります。
結果、「私は育児中でも営業ができるんだ」という自信が沸き起こり、働ける将来が展望できるようになるのです。


労働人口の減少にともない、多様性を認める働き方と真のグローバル化を浸透させるためにも、
中長期戦略のひとつとして「女性営業活用」は避けては通れぬ道なのです。


ページの先頭へ戻る

a-blog